現社名のもとが地名である「ノリタケカンパニーリミテド」が、配当利回り約4.5%、PER6倍割れ、PBR0.5倍割れと、PBR1倍割れを東証が問題視しているとわかった以前から、バーゲンセール状態とは思っていて、自社株買いをいつ発動するんだろう…と考えていた。
同社の大株主に、明治安田生命8.81%、第一生命7.11%と、9月末時点で生命保険会社の持株比率が高過ぎることが気になっていた。もしかして、生保に持ち株を売ってもらって自社株買いに出たくても、株価が安過ぎるので応じてもらえないのでは? なんて思えてきた。実際、ノリタケと「森村グループ」を形成する日本特殊陶業もPER6倍割れ、PBR1倍割れ、配当利回り6%超えなんて異常な状況の中、自社株買いを昨年1月31日に公表しているが、昨年中に全く自社株買いをしていない。大株主が売ってくれないから、買取もできない…そんな事態に見舞われてしまっている感じを受けてしまう。

試しに、ネットに出回る情報から、生損保会社の持株比率が5%以上になっているところを抜き出してみた。さすがにTOPIX Core30では出てこないものの、Large70ではクボタ、塩野義製薬と生損保会社1社の持株比率が5%以上のところが出てきてしまった。もっとも、5%を少々超えた程度ではそんな気に留める必要もなさそうだが、大幅に超えてしまうとどうなるものか。

そんなことで、2023年1月21日現在の日本の上場企業で、特定の生損保企業による持株比率が5%以上になっていて、その5%を超える比率の総和がどれほどになっているかを試算してみた。
以下では、その総和が4%以上になってるものを列記した形。

【下表の表示方法】
  • 持株比率が5%以上の生損保企業が1社の場合
    「該当生損保の持株比率」から5%を減じた数
  • 同2社の場合
    Σ「該当生損保の持株比率」から5%を減じた数
  • 同3社以上
    該当なし
銘柄 社数 ※持株比率 PER PBR PER×PBR 株数(万)
【6454】マックス 2 7.01% 12.6 1.05 13.23 331
【8291】日産東京販売HD 2 6.94% 6.32 0.39 2.4648 462
【5334】日本特殊陶業 2 6.44% 5.89 0.91 5.3599 1314
【8524】北洋銀行 2 6.02% 10.71 0.26 2.7846 2326
【5331】ノリタケカンパニーリミテド 2 5.85% 5.76 0.46 2.6496 86
【9010】富士急行 2 5.61% 185.51 9.93 1842.114 299
【5602】栗本鐵工所 2 5.44% 5.79 0.31 1.7949 66
【1961】三機工業 2 5.35% 11.99 0.94 11.2706 298
【7164】全国保証 2 5.23% 11.2 1.75 19.6 359
【9312】ケイヒン 2 5.00% 3.36 0.4 1.344 32
【9856】ケーユーHD 2 4.89% 6.85 0.76 5.206 157
【9746】TKC   4.80% 19.43 2.08 40.4144 251
【6742】京三製作所   4.70% 19.27 0.57 10.9839 295
【4516】日本新薬   4.63% 18.77 2.35 44.1095 311
【6245】ヒラノテクシード   4.62% 13.38 0.99 13.2462 69
【6371】椿本チエイン   4.61% 7.48 0.49 3.6652 170
【9082】大和自動車交通 2 4.60% 31.6 0.37 11.692 20
【6497】ハマイ   4.35% 10.64 0.46 4.8944 29
【6745】ホーチキ   4.32% 7.49 0.82 6.1418 109
【8131】ミツウロコグループHD 2 4.30% 21.71 0.69 14.9799 260
【6926】岡谷電機産業   4.10% 18.35 0.68 12.478 93
【8052】椿本興業   4.07% 6.91 0.79 5.4589 25
(PER、PBRは2023年1月21日現在)
(社数は、5%以上保有する生損保会社の数、比率は5%越えの部分の総和。)

一覧を作ってみて呆気に取られてしまった。
株価が高過ぎて買い手がつかない! と読み取れてしまう富士急行を除くと、PER・PBRの意味で叩き売りバーゲンセールばかりが並んでしまっている。

東京証券取引所が今年「PBR1倍割れ撲滅」を謳っている中、株価が不当に安いから熨斗をつけてまで持ち合い解消売りをしたくない扱いにされてしまっているところは、PERが異常に低く放置されているところほど「自社株買いを使ってでも株価を高くし、やかましいコーポレートガバナンスのために持ち合い解消売りを出してもらおう」なんて動きが出ても何ら不思議ではない。

2022年12月の決算発表と合わせて、自社株買い(自己株式取得)の発表がどれだけ出るか、それが期待しやすい上場企業という事で、リストアップしてみた形です。